「辛いものを食べると痔になる」という噂を聞いたことはありませんか?
辛いもの大好きなのに…
痔になるのを恐れて好きな食べ物を我慢している方も多いようですが、辛い食べ物は本当にお尻の天敵なのでしょうか。
今回は、辛い食べ物が痔を引き起こすと言われる理由やその信憑性について紹介していきます。
痔が心配で辛いものを諦める方は多いよう
Twitterをのぞいてみると、以下のような投稿が沢山みられました。
痔主はヤバいです。辛いもの食べる前に小一時間悩みます
— oshyo3 (@_margin_call_) October 25, 2021
中本の蒙古タンメン食べたい。
痔殺行為だけど…
— 仙台人 (@_sendaijin) March 12, 2017
辛い物大好きなんですが、酒もタバコも博打もしなくて健康健全だと信じ切っていたある日
いぼ痔が炸裂してしまったのです
辛い物すら食べてはいけなくなってしまったのです
酒もタバコも博打もしないのに…— ポジティブに願いを(創作垢) (@POZIPOZI0618) October 12, 2021
実際に、痔になるのを恐れて辛い食べ物を諦める方は多いようですね。ただ、本当に辛いものが痔の原因になっているのでしょうか。
「辛い物を食べると痔になる」はウソ?
結論から言うと、「辛いものを食べると痔になる」というのは都市伝説だとされています。
では、なぜここまでウワサが広まっているのでしょうか。細かく見ていくと、次のような事が言えます。
- 辛いものが痔の原因なのではなく、切れ痔のある人が唐辛子を食べた後に痛みを感じやすい
- 辛いものが下痢を誘発し、間接的に痔を引き起こす可能性がある
ではこの2点について、具体的に説明していきます。
唐辛子を食べると痛みを感じるのはなぜ?
唐辛子に多く含まれている辛味成分「カプサイシン」は、体内で消化・吸収されずに排出されます。肛門の粘膜は、このカプサイシンの刺激に弱く、痔の有無にかかわらずお尻がヒリヒリすることがあります。
特に切れ痔のある方はこの痛みを強く感じるため、結果として「辛いものを食べると痔になる」と解釈され、うわさが広がったのだと考えられます。
カプサイシンと痔の関係
「辛いものを食べると痔になる」というのはうわさだとしても間接的に痔になってしまうことはあります。
激辛料理を食べた後にお腹の調子が…。という経験はありませんか?適量ならば腸の働きを活発化させるカプサイシンですが、過剰に摂取すると胃腸の粘膜を痛めてしまい、下痢になってしまう恐れがあります。
下痢になってしまうと、肛門に圧力をかけていることになり、さらに肛門の粘膜の炎症を起こしやすくします。 そのために、いぼ痔や切れ痔、さらには痔ろうが起こりやすくなります。
つまり、下痢を引き起こしやすいカプサイシンは、間接的に痔のリスクを高めるとされています。
カプサイシンが含まれている食べ物とは?
麻婆豆腐、担々麺、チゲ鍋など、特に中華料理や韓国料理には唐辛子が多く含まれる傾向があります。切れ痔の方は炎症が悪化する恐れがあるため食べすぎないようにしましょう。
ちなみに、同じ香辛料としてよく使われているワサビやカラシ、コショウにはカプサイシンは含まれていません。
カプサイシンからお腹を守るには
しかし、辛いものを食べたいけど、お腹の調子が悪くなることもできるだけ防ぎたいですよね。辛い料理からお腹をを守るためには乳製品がいいと言われています。
乳製品は摂取することで胃に幕を張ることができ、辛味が過剰に摂取されるのを抑えるはたらきがあります。
牛乳、飲むヨーグルト、バニラアイスなどがいいと言われています。インドカレー屋さんで出てくるラッシーもこういう理由からカレーとセットで出てくるそうです。
ちなみにお腹を壊す予防のほか、激辛を食べている最中の舌の痛みを和らげるのにも効果的です。
水だとそのまま辛味が舌に広がってしまうのですが、牛乳等の乳製品には舌に膜を張って辛味が広がるのを抑えてくれます。
引用元:「辛いものを食べるときは一緒に牛乳を飲むと良い」ーー俗説の正しさが明らかに
韓国人は痔になりやすい?
韓国と言えば、キムチやビビンバ、トッポギ、チゲなど、辛い料理が有名ですよね。そんな韓国は、痔の手術数の多さが注目されています。
2011年のデータでは、韓国における痔の手術患者は22万6000人と、白内障に続き全体で2番目に多い結果となっています。この数字を見ると、辛い食べ物と痔の発症には因果関係があるようにも見えますね。
また、韓国は胃がんの発病率が高い国としても知られています。カプサイシンの大量摂取が胃がんのリスクを高めるといわれているので、痔の予防だけでなく、胃がんのリスク回避という意味でも辛い物の大量摂取は控えておいた方がよさそうですね。
適度に食べると逆にいい効果も…?
辛いものを食べるとポカポカと体が温かくなりますよね。
これも「カプサイシン」の効果のひとつです。唐辛子に含まれるカプサイシンは、脳神経に作用して体を温めるホルモンを分泌してくれます。また、血行促進の作用もあるため、一時的に体温を上げるだけでなく、抜本的な冷え性改善にもつながります。
体の冷えも肛門周辺の血流を悪化させ、痔の発症・悪化につながります。そのため、体を温めてくれる辛い食べ物には良い側面もあると言えるでしょう。
その他、痔に良くないとされる食べ物
ここまで辛い食べ物について解説してきましたが、他にも「痔に良くない」とされる食べ物があります。その理由にも触れながら4つ挙げてみました。
アルコール
少量なら血行促進効果のあるアルコールですが、大量に摂取すると、血液量の増加に対応できず、お尻のうっ血や出血、痛みの悪化などに繋がるケースもあります。
また、下痢の原因にもなってしまうため、お酒は適量を守って飲むようにしましょう。
お肉
動物性の食品は胃腸への負担が大きいとされています。お肉など、脂肪分が多く含まれている食べ物を摂取しすぎると、腸内環境が悪化して、痔の原因である下痢や便秘を引き起こします。
スムーズな排便のためにも、野菜や魚もバランスよく食べることが大切です。
カフェイン
適切に摂取すれば体に良い作用を及ぼす成分である一方、カフェインの利尿作用は、痔と関係があります。利尿作用によって尿の量が増えると、体内の水分量が減って便秘になりやすくなります。
冷たい食べ物
冷たいものを食べるとお腹が冷え、下痢しやすくなります。ビールやアイスクリームなど、暑い時期はおいしいですが食べすぎには注意が必要です。
共通して言えるのは便秘や下痢になってしまうということです。便秘は排便時にいきんでしまい、お尻がうっ血してしまうことで痔になってしまい、下痢は肛門に圧力をかけていることになり、さらに肛門の粘膜の炎症を起こしやすくします。 そのために、いぼ痔や切れ痔、さらには痔ろうが起こりやすくなります。
まとめ:辛いものを食べすぎると痔になるのか
- 「辛いものを食べると痔になる」は都市伝説
- カプサイシンには下痢を誘発する可能性がある
- 冷え性改善の効果も期待できる
- 過剰摂取は控える
辛い物を頻繁に食べ続けているからと言って、確実に痔になるというわけではありません。
ただ、辛いものを多量に摂取し続けることは間接的に痔になるリスクを高めたり、もとからある痔の炎症を悪化させてしまう恐れがあります。
美味しくても食べすぎは控えるようにしましょう。
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