コロナ禍で増え続けている運動不足が問題になっています。
痔は、肛門周囲の血行が悪くなることが原因で発症するため、スポーツで体を動かすことは痔の予防にとって非常に有効です。
心肺機能を高め、全身の血行を良くすることで、肛門のうっ血を防ぐことができます。
この記事では、自宅で簡単にできる痔を予防・改善する運動を紹介します。
運動をおすすめしたい痔の症状は「いぼ痔」
いぼ痔の主な原因は、うっ血(血液がたまること)と便秘のいきみです。
いぼ痔(内痔核)は、二足歩行によって肛門周囲に腹圧がかかることに加え、便秘で過度にいきむことで生じます。
肛門にある静脈がうっ血し、血流が阻害されて炎症を起こします。結果、静脈叢(静脈が網目状に集まっているところ)が腫れて痔となるのです。
自宅でできる痔の改善運動
いぼ痔を改善するには、うっ血の予防と便秘解消が必要です。
うっ血を改善する肛門のトレーニング
うっ血を改善するのにおすすめなのが、肛門を締めたりゆるめたりする「肛門筋トレ(正式には肛門括約筋トレーニング法)」です。
このトレーニングを行うと、ミルキングアクション作用でうっ血が改善され、痔の改善に役立ちます。
ミルキングアクションとは、筋肉の動きによって、血液をまるで乳搾りのように先へ送る作用のことをいいます。
つまり、肛門筋トレは、肛門括約筋を締めたりゆるめたりを繰り返すことで、静脈にたまっていた血液を直接流す運動です。
肛門筋トレのやり方は2つある
では、肛門筋トレはどのように行えばいいのでしょうか。
そのやり方は下の図のとおりでとても簡単。2つの方法で肛門を締めるだけです。
肛門筋トレのやり方1(頻回法)
①足を軽く開いて立つ。
②そのままの状態で、1秒に1回の速さで肛門だけに力を入れてギュッ、ギュッと締める。
これを3分間続ける。(締める時に息を吸うと行いやすいです)
締めるリズムは、速めで1回1秒くらい、1分間で約60回締めるのを目標にしましょう。
これを3分間行います。この運動は、肛門の静脈叢の血流をスムーズにして、痔の腫れを取るマッサージ作用があります。
肛門筋トレのやり方2(ゆっくり法)
①便意を我慢するようなつもりで、5〜10秒肛門を締める。(この時肛門を締めて引き上げるイメージを持ち、息を吸い続けながら締め付けるといい。)
②次に、肛門の力をヒュッと、一気に緩める。これを5分間繰り返す。
肛門をゆっくり長く締めることで、肛門括約筋がしっかり収縮して、静脈の血の流れが一旦せき止められます。そして、ゆるめたときに、血が勢いよく流れて痔のうっ血が取れるのです。
続けることが大事
肛門筋トレの作用を得るには、やり方❶と❷の両方を根気よく、せめて3カ月、できれば約半年間以上継続するよう心がけましょう。
継続することで痔核が縮んで脱肛の改善が期待できます。さらに、これを長く続けることで予防にもつながります。
どうしても両方行うのが難しい人は、どちらか一方でも大丈夫です。何よりもあきらめずに継続して行うことが重要です。
肛門筋トレを行う上での注意点
内痔核(肛門の中にできるいぼ痔)が脱出している状態で肛門筋トレを行うと、かえって痛みが出ます。脱肛状態を戻してから行ってください。
痛みがある人は痔の状態が落ち着いてから行いましょう。
便秘を改善するヨガのポーズ
ヨガも痔の改善に最適です。
ヨガで下腹部周辺の血流をよく巡らせることが、便秘解消につながります。
便が楽に出るようになると、自然にいきみも減りますから、痔の悪化を防ぐこともできます。
では、さっそく便秘解消ができて、痔を楽にできるヨガポーズをご紹介しましょう。
立ち前屈
立ち前屈は下腹部周辺の血流をよく巡らせてくれるポーズになります。
下半身全体の筋肉もよく伸びますから、足がむくみがちだったり疲れてしまった時にも有効です。
では、さっそくやってみましょう。
「立ち前屈」やり方
- 背筋を伸ばし、足を腰幅に広げて立つ。
- 息を吐きながら、前屈する。手は力を抜いて楽にしておく。
- ひざの裏をしっかり伸ばす。この時、重心が後ろに引きがちになってしまうので、重心をしっかり前にかけ、かかとの上におしりがくるようにまっすぐ立とう。
- 息をゆっくり吐きながら、60秒間キープする。
- ゆっくりと起き上がる。
弓のポーズ
前屈のポーズをした後は、背中をそらせるポーズに挑戦してみましょう。
弓のポーズは腹部がよく伸びますので、下腹部周辺の血流がよくなります。
また、生理痛をやわらげたり、消化不良を解消したりするのにも役立ちます。
「弓のポーズ」やり方
- うつぶせの姿勢になる。
- ひたいを床につけ、両手で両足首をつかみ、肩甲骨をグッと中心に寄せる。
- 息を吐きながら、胸をそらせる。
- ②のポーズに戻る。
- 息を吸って吐きながら、今度はひたいを床につけたまま、下半身だけ持ち上げる。
- ②のポーズに戻る。
- 息を吸って吐きながら、胸をそらせると同時に、下半身を持ち上げる。ゆっくり10秒間キープして、①の姿勢に戻る。
ベビーポーズ
弓のポーズで腰をそった後は、腰をのばしましょう。
ベビーポーズは腰をのばすのに有効ですし、下腹部の血流を巡らせるのにも役立ちます。
比較的、簡単なポーズですので、気楽な気持ちでやってみましょう。
「ベビーポーズ」やり方
- あおむけの姿勢になる。
- 両ひざを胸に近づけて、両手でかかえこむ。
- 息を吐きながら、60秒間、その姿勢をキープする。
- ゆっくりと①に戻る。
便漏れの方にもおすすめ
女性は出産などにより、子宮や膀胱などが下垂して腟から出てくる骨盤臓器脱になりやすくなります。
肛門筋トレは、骨盤底筋群を強化して骨盤臓器脱のほか、便漏れや尿漏れの予防・改善作用も期待できます。
痔を改善するために知っておくべき予備知識
トイレは3分〜5分が目安
排便は3~5分程度とし、出ないときは無理せず切り上げるように習慣づけましょう。まだ便が残っているような気がしても無理に出しきろうとしてはいけません。
長時間、強くいきむと肛門に負担がかかり、うっ血や出血につながってしまいます。排便は、便意をもよおしたときに無理なくするようにしましょう。
腸内環境を整える
便秘や下痢は、痔の大きな原因の1つです。便秘による硬い便は、肛門を傷つけてしまいます。
下痢も肛門を刺激したり、細菌感染を起こしやすくしたりします。
腸内の悪玉菌が増えることが、便秘や下痢を引き起こす原因になることも。
悪玉菌よりも善玉菌が多くいる環境を保つためにも、バランスの良い食生活を心がけましょう。
こちらの記事で詳しく説明しているので、よろしければご覧ください。
痔に運動は有効だが、例外も
はじめに、運動は痔の改善と予防に役立つと説明しましたが、例外もあります。
痔を悪化させる運動
お腹やお尻に瞬間的な強い力が加わるスポーツは、肛門のうっ血させ、痔核を悪化させる恐れがあります。
ゴルフやテニスといった身近なスポーツでも、ボールを打つ瞬間に腹筋と肛門に強い力が加わるため、内痔核(いぼ痔)が脱出したり、血栓ができたりして、スイング後に”七転八倒する”痔主の人も少なくありません。
まとめ
ストレス、デスクワークと痔の発症となる要因が増え続ける昨今ですが、日常の何気ない行動や、誰でも簡単にできるトレーニングで予防することができます。
薬や病院で改善することも方法の一つですが、悪化してしまう前にちょっとした心がけから予防・改善を心がけてみてはいかがでしょうか。
それでも改善しない場合は、市販の薬を試したり、専門の医療機関に受診し詳しく診てもらうことをおおすすめします。
コメント
[…] 自宅で簡単!痔が改善する運動を紹介した記事はこちら […]