いぼ痔は、日本人の中で一番多い痔です。
痔の6割以上を占めるとされているいぼ痔ですが、その治療法として近年人気になりつつあるのが「ジオン注射」です。
身体的負担が少なく、注射だけで痔核を治せるということから、興味をもっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ジオン注射のメリットとデメリットについて解説します。
ジオン注射を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください!
いぼ痔(内痔核・外痔核)とは?ジオン注射で治療できるケースについて
いぼ痔は文字通り、肛門付近に”いぼのような腫れもの”ができる痔で、内側にできたものを「内痔核(ないじかく)」、外側にできたものを「外痔核(がいじかく)」と言います。
それぞれの簡単な特徴は次の通りです。
外痔核は肛門の周辺、知覚神経が多く通っている部分にできるため痛みを感じやすいですが、内痔核は神経がない直腸にできることで痛みを感じことがなく進行しやすいという傾向があります。
また、内痔核は痔の中で一番多く、便秘の人やトイレ時間が長い人、排便時のいきみが強い人などがなりやすいです。また、妊娠や出産がきっかけで起こりやすくなります。
この2つのうち、ジオン注射は「内痔核」の治療に効果的だとされています。
ジオン注射について
ジオン注射とは、2005年ごろから始まった、脱出をともなう内痔核を切らずに注射だけで治す比較的新しい治療法です。
最短日帰りで治療が受けられること、治療中・治療後の痛みがほとんどなく、身体的な負担も小さいことから、近年注目が高まっています。
ジオン注射で使う薬の主な有効成分は有効成分は硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸で、その頭文字を取って「ALTA療法」と呼ばれることもあります。
ジオン注射のメリット・デメリット
日帰りで受けることができるジオン注射には次のようなメリット・デメリットがあります。
ジオン注射のメリット
ジオン注射のメリットは、以下の2点です。
・日帰り~1泊2日で受けられる
患部に直接薬を注射するので、切ったり縫ったりするよりも体への負担が少なくて済みます。痛みもほとんどありません。
また、切ったり縫ったりする手術に比べて短時間で処置できるのも魅力です。
ジオン注射のデメリット
一方、ジオン注射のデメリットとしては、
・効果が出るまで時間がかかる
・痔の程度によっては適応外になる
といった点が挙げられます。
痔核を切り取る手術の場合、再発の恐れはほとんどありませんが、ジオン注射は1年後の再発率が16%程度だと言われています。
また、薬を注射してから痔核が消失するまで少し時間がかかる点もデメリットといえるでしょう。ほとんどの人は、翌日になると痔核の脱出はなくなりますが、人によってはもう少し時間がかかることがあります。
ジオン注射で治療できるいぼ痔は、
- 排便時に脱出するが自然に戻る(Ⅱ度)
- 指で押して容易に戻る(Ⅲ度前半)
レベルまでです。
指で押しても簡単に戻らない(Ⅲ度後半)・脱出したままになっている(Ⅳ度)のいぼ痔はジオン注射では治せません。
ジオン注射の費用は?保険は効くのか
体への負担が少なく、日帰りで行うこともできるジオン注射ですが、費用が気になりますよね。
ジオン注射の費用は、3割負担で1万5千円から2万円です。
ここに手術前の検査や麻酔、手術後の通院費用が掛かります。
詳しい費用は、通院している病院に問い合わせてみてください。
その他、いぼ痔に用いられる治療法
おしりの内部や外側がうっ血していぼができてしまう「いぼ痔」は、非常にポピュラーな病気で、痔に悩む人の60%以上がいぼ痔を患っているとされています。
いぼ痔の治療法は、主に2つあります。
①薬による治療
②手術による治療
それでは、詳しく見ていきましょう。
①薬による治療
薬による治療は、軽度のいぼ痔に用いられます。
鎮痛・消炎成分などが入った薬を患部に塗ったり、注入したりして症状を和らげる治療法です。
軟膏やクリーム、座薬などはドラッグストアでも売られていますよね。 体質の改善を目的として「乙字湯」という漢方が使われることもあります。
痔は生活習慣と密接に関係している病気なので、痔の症状を抑える薬に加えて、おなかの調子を整える薬が処方されたり、生活指導が行われたりすることも多いです。
②手術による治療
次のような場合は、手術が必要です。
- いぼ痔が脱出して戻らなくなってしまった
- 貧血になるほどの出血がある
- 少しの衝撃で痔核が脱出して日常生活に支障をきたす。
手術とひと口に言っても最近は様々な方法があるので、担当の医師とよく相談しましょう。
いぼ痔の手術には様々な方法がある
いぼ痔の手術といっても、たくさんの種類があります。
①痔核を切り取る手術(結さつ切除術)
痔核を切り取る手術は、最もポピュラーな痔の手術です。
いぼ痔を根元から切り取り、縫い合わせます。広く行われてきた手術のため安全性が高く、内側にできたいぼ痔・外側にできたいぼ痔どちらにも対応可能です。
ただし、7~14日程度入院しなければなりません。麻酔をしたうえで患部を切除するため、体への負担も大きいです。
②ゴムで痔核を小さくする手術(ゴム輪結さつ術)
ゴムで痔核を縛り、小さくする手術も広く行われています。
この手術のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
・痛みが少ない
・日帰り手術が可能
・麻酔が不要
体への負担が少なく、痛みもほとんどない手術ですが、大きな痔核や硬い痔核はゴムで縛ることができないため、この手術は行えません。
まとめ:いぼ痔が注射で治せる!?ジオン注射のメリットやデメリットを解説
日本人の3人に1人が悩んでいるとされる痔は、ポピュラーな症状ゆえに自己流でケアしている人が非常に多い病気です。
自己流のケアを続けたために悪化し、病院を受診する頃には手術が必要な状態になっている人も珍しくありません。
いぼ痔に悩んでいるのなら、まずは病院を受診しましょう。最近は「ジオン注射」に代表される体に負担の少ない治療法も登場しています。
ただ、ジオン注射で治せる痔は限られています。それ以上悪化すると体に負担のかかる手術でしか治せなくなるので、早めに病院を受診して適切な治療を受けてください。
早期に医師の治療を受ければ、早く治せます。市販の薬をしばらく使っても改善しない・悪化するようなときは、我慢せずに肛門科または消化器外科を受診しましょう。
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